2018/7/16 オル・ドイニョ・レンガイ

キリマンジャロ登山ツアーの番外編として企画したオル・ドイニョ・レンガイ登山、
マサイ族の人々が神の山として信仰の対象としているアフリカ大地溝帯に位地する活火山である。
大地溝帯(グレートリフトバレー)とは、アフリカ大陸東側を縦断するプレート境界の1つで、
正断層で地面が割れ100m以上の崖が随所に見られる。
その大地溝帯に位地する活火山がオル・ドイニョ・レンガイである。

オル・ドイニョ・レンガイの登山はマサイ族が管理していて、
マサイ族の案内所でガイドを依頼する。
今回は2人のマサイ族のガイドが同行した。

深夜23:30、キャンプを出発。
ランクルに乗っておよそ1時間、スターティングポイント(レンガイの麓)に到着。
00:30、頂上に向けて登山開始。
空は快晴で満天の星空、、、だったのだが、風が強くて砂埃で星空もかすむ。
麓の標高はおよそ1000mなので、頂上まで2000mの高低差だ。
前半2時間程度はわりと歩きやすい登山道だが、中~後半は4時間続く急登、
登山道も特になく、マサイ族のガイドに案内されるがままに登っていく。
急な場面は手を使ってよじ登るが、岩質は非常にもろく、体重をかけるとボロっととれることもある。
雨で浸食されているのだろう、不思議な形状の岩肌だ。
午前6:00ころ、空が明るくなってきてやっと自分がどんなところを登っていたのかが見えてくる。
頂上直下の最後の1時間は本当に急登で、転んだら大変だ、止まらないかもしれない。
岩肌が白くなっているが、これは雪ではなく塩分を多く含むナトロカーボタイトというレンガイ特有の物質。
これがナトロン湖へ流れ込み、塩湖となっている。

超急登部分を抜けるといよいよ最後のクレーター部分の登りだ。
数年前の噴火の衝撃でだろうが、山の途中に横一線の深い亀裂が入っている。
いたるところで火山ガスが噴き出している。

午前 07:03、頂上クレーターリムに到着。
非常に薄いリムで、火口側にも登ってきた方向にもザレ場で滑って落ちそうな感じである。
リムを一周することは危険なのでできない。
以前(10年以上前)、噴火前は火口が噴出物(ナトロカーボタイト)で完全に埋まって平になっていて、
その上を歩くことが出来たが、噴火により埋まっていた部分はすべて吹き飛び再び火口となっている。
火口の底を見ると、真ん中に泉のような穴があり、そこからボコボコとナトロカーボタイトが湧き出しているのが見えた。
いずれこれがまたこの火口を埋め尽くす日が来るのだろうか。

07:17、下山開始。
クレーターリム上は非常に風が強く寒かったので、長くは滞在せずに下山を開始した。
オル・ドイニョ・レンガイ登山の核心は下山だ。
真夜中に周りが見えない状態でもくもくと登ってきたのだが、
いざ下山する時になり、よくこんなところを登ってきたもんだ、いや、どうやって下りるんだ?
となる。
急な部分は座り込んで手をついてジリジリゆっくりと降りて行くしかない。
しかし眼下には大地溝帯の断崖絶壁と大地が美しく広がっている。
急ぐことはないので絶景を楽しみながらゆっくり慎重に下山していく。

急な岩場部分が終わり最後はススキの草原の様なエリアに出る。
まさに黄金の絨毯のような風景で、それが風になびいて本当に美しい。

12:25、車が待つ出発したポイントに到着。
コースタイムは登り6時間半、下り5時間程度となった。
しかもその行程のほとんどが超急登というかなりハードな登山だったと思うが、
それだけに得られた達成感と満足感は最高のものだった。

キャンプへ戻り、昼食をいただき、
アルーシャの町へ戻る。